• 日本一のパパ


    日本一のパパ
         平成21年7月 

           
    社長がため息をついた、今日も資金繰りに追われる毎日
    銀行に融資を頼みに行った「300万いや100万でも良いんです」
    融資担当者は、ふっと息を吐いて
    「社長この決算書じゃ融資は無理なのはお分かりになるでしょう」
    なぜ上手くいかないんだろう。私は毎日一生懸命、資金繰りに走り回っているというのに
    これも社員が悪いからだ。社員がもう少しやる気を出してくれれば業績は上がるのに
    我社のスローガンである「お客様第一主義」にどうして徹してくれないんだろう
    そうすれば上手くいくのに‥。

    ある日、一人の社員が辞めていった
    おとなしい社員だったが辞めるときは、言いたいことを言って辞めていった
    「今の不景気じゃうちをやめても簡単に就職先は無いぞ、もう少し頑張ってみたらどうだ」
    「こんな安月給であなたの下で働くくらいなら、他にも働き先はありますよ
    あなたの考えていることは、お客様第一主義じゃない、あなたは自分が可愛いだけだ」
    一番古株の社員に相談してみた「こんな風に言われたけど、そうなんだろうか?」
    「社長やっと気づきましたか。社員は皆あなたが自分のことばかり考えていることを見抜いていますよ」

    ある日、仕事が入って従業員に手伝ってくれるように頼んだが誰も手伝ってくれなかった
    遅くなって家に帰ると、片言で話し始めたばかりの子供が自分に何か伝えようとしている
    「‥んち‥ぱぱ」何を言っているか分からなかった
    「‥いおんちの‥ぱぱ」私の顔をじっと見て、必死に何かを伝えようとしている
    「にほんいちのぱぱ」思わず目に涙があふれ、子供を抱きながらただ泣いた
    妻が毎日、子供に語りかけていたのだ「あなたのパパは日本一のパパだよ」
    目が覚めた。日本一のパパになるために、全てを変える。
    まずは、私が変わる!次の日から必死で働いた

    ある日曜日、今日も一人で会社に出て仕事をしていた。電話が鳴った、取引先の社長からだった「あなたもひどい社長だよね。おたくの従業員、毎週日曜日にうちに来てるよ。休みの日に手伝いに来させるなんて」
    一瞬、何のことか分からなかった。毎週手伝いに行ってくれていることを理解した。
    息が詰まった。「それは社長、お客様が喜んでくださるのがうちの幸せですから」と涙をこらえてやっとのことで言った。
    「有難う」涙があふれた



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